2012/03/14

冷たい右手

背中からぽつりとつぶやいて呼ばれた
重たいドアが開いた音がした

封筒に入れて浴槽に沈めた
届いた手紙読まずに灰にした

性懲りもなく
病は嘘で
壮大な幕開け
まるで映画のよう

素性なら見極めて最期に言わずに済むならそうしてよ
切ない肌ぼやけて見えていた

上手くないなみだ
蔑まれても
眼帯を破いて
これからどこへ向かうの?

峠を越えて
丘の上
冷たい右手
空を掴め
やまない雨に
耳を澄ませ
冷たい右手
夜を掴むとき

くちびるの上
滑り落ちてきたら矛盾さ


皮肉だわ何度も寝取られて拐かしたら
暴いた襖の裏に歪んだ顔があった

憶測もなくなると判断が鈍った
焦って髪を結いで上げてみた

忘れていたの
曖昧な答え
屈託なく笑って
居座るのなら覚悟を決めろ

峠を越えて
光る丘
冷たい右手
星を掴め
歌わないのなら
声を燃やせ
冷たい右手
夢を掴むとき

雑踏のなか
思い遣りも忘れ苦痛さ



勇敢にもっと軋轢を抱けよ
裁いた過去も憂いた現実も


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